今更ですが、690ノッチってどういうこと??を、真剣に検証してみた(滝汗)

去年、Industry Nineから、Hydraというとんでもないハブが登場しまして・・・・なにが、とんでもないかって、そのフリーのノッチ数。

なんと690ノッチ(汗)なんと、0.52°ごとにフリーがかかるという、もはやわけのわからないスペック・・・・

そもそも、Industry Nineのハブは、ノッチ数が多いことはよく知られていて、以前のTorchハブは、120ノッチでした。
でも、ハブの内側に120ノッチが掘ってあるわけではなく、実際のノッチ数は60なんです。

H2.jpg

手に持っているフリーボディに、パウル(爪)が6個あるのがわかると思いますが、よーく見ると、パウルの位置関係は、2個づつ、120°ごとの配置であることがわかります。
PawlI9_web.jpg
これが、パウルの拡大写真。爪の先に段差が設けられているのがわかると思いますが、これがノッチ数を倍にする秘密。

フリーボディの6個のパウルは、2個でワンセットとして、120°ごとに配列されますが、この2個でワンセットのパウルは、一つは、パウルの先っぽがノッチに噛み込み、もう一つは、パウルの2個目の段差にノッチが噛み込みます。これが、60ノッチを120ノッチに倍増させる秘密。
こうすることで、ハブに細かいノッチリングを組み込むことなく、細かなノッチ数を実現しているわけです。

で、Hydraはどうかというと・・・・


H3.jpg

これ、奥の荒いノッチリングがTorch、手前の細かいノッチリングがHydra。で、非常に不思議なのが・・・・

ノッチ数が115!?

360で割り切れないやん!?

さらに不思議なのが・・・・

p5pb16855277.jpg

これ、フリーボディにノッチリングをかぶせた写真なんですが、よーく見ると、パウルがどれも中途半端にノッチにかかっているように見えるんです。わけわからんので、動画を見てみると・・・・(以下の動画および画像の出展はBikeRumor)


なんだか、パウルが1個づつしかノッチに噛んでいないように見えます・・・・(滝汗)

強度大丈夫なんかーい!!!

が、実はここが、このHydraのとんでもないところで・・・・・ここからは写真だけじゃ解説できないですから、ちゃんと数字をおっかけてくださいよ!!

Industry-Nine-I9-Hydra-high-engagement-freehub-hub-system-690-poe-system-hubs-weights-review-bikerumor-12.jpg

これは、Hydraのノッチリングとパウル。ノッチ数は115。使われているパウルは6個。そしてパウルのエンゲージポイント(ノッチに噛みあう部分)は2個。

仮に、パウルが1個づつ、独立してノッチに噛みあっていると仮定すると、トータルのエンゲージポイント(=ノッチ数)は・・・・・

115X6X2 = 1380 ノッチ

で、これを半分にすると・・・・・

1380÷2 = 690 ノッチ !!!

おおおお!!これが正解なんじゃね????と思ったあなた、数学苦手でしょ??

じつは、690ノッチはあり得ない数字なんです(汗)。なんでかというと、360°を690で割ると・・・・・

360÷690 = 0.5217391304347826・・・・・・

割り切れましぇん!!!

でも、これが、さきほどの動画で、どうもパウルが1個づつしかノッチに噛みあっているようにしか見えなかった理由なんですね。

では、どうして、これが690ノッチと言えるのかというと、ここで出てくるのが、パウルとフリーボディのはめ込み部分のスキマ。

Industry-Nine-I9-Hydra-high-engagement-freehub-hub-system-690-poe-system-hubs-weights-review-bikerumor-13.jpg

赤い丸で囲っている部分が、パウルがフリーボディとかみ合っている部分ですが、ここの部分は、単にフリーボディの溝にグリスを塗ったパウルがはまっているだけ。このパウルは、当然動く必要があるので、このはまっている部分は、ぴっちりとはまっているわけではなく、ある程度緩く、あえてガタを作ってあります。ガタがあるということは、当然、パウルがノッチに噛み込んだ際には、赤い矢印で示しているように、この部分がちょっと動きます。
このガタを、はめあい公差というんですが、この手のはめあい摺動部の公差は、一般的に0.08㎜くらい。言い換えれば、パウルは、押されれば(トルクがかかれば)0.1㎜くらい動くということです。
加えて、パウルとノッチの間にも微妙なガタが存在します。ラチェットのかみ合わせ公差が、一般的に0.1㎜くらい普通にあるので、パウルのはめあい公差と合わせると、大体0.18㎜くらいのガタが存在します。

で、ここで思い返してほしいのが、Hydraのノッチリングのノッチ数は115。パウルの数は6個。パウルのエンゲージポイントは2個。なので、仮想ノッチ数は、1380です。

ここからちょっと数学ですよ、ちゃんとついてきてください!

Hydraのフリーのノッチリングの内径は、約38㎜。となると、このノッチリングの内径円周は、38π=約119.32㎜。
この内径円周を、仮想ノッチの1380で割ると、119.32÷1380で、大体0.086。つまり、仮想ノッチ1個で、パウルは0.086㎜動くということになります。

そして、さきほどのフリーラチェット部分の合計のガタが、これが大体0.18㎜。ということは、トルクがかかった状態で、パウルがはめ合い公差分動く(ずれる)と、仮想ノッチ2個分のズレが生じます。なので、仮想ノッチが1380あったとしても、実質はその半分、690ノッチが実動ノッチと考えられるというわけです!!!

つまり、フリー内部のはめあい公差、言い換えれば小さなガタを逆手にとって、690ノッチなんていう実動ノッチを実現しているというわけ!!

ただ、厳密に言うと、実動690ノッチということは、同時にエンゲージしているパウルは2つということになり、ちょっと耐久性に不安を感じてしまうのですが、冷静に考えてみると、これもまったく問題なし。
なんでかというと、2つのパウルが噛んでいる状態から、もう2つパウルをかませるには、フリーボディをさらに0.5217°ひねればいいだけ。
意外かもしれませんが、どんなハブのフリーボディも、0.4~0.6°くらい、トルクをかければねじれちゃうんです。

なので、軽くペダリングをしているときは、実質2パウルのエンゲージ。思い切り踏み込むと、3~4パウルのエンゲージと、入力されるトルクによって、エンゲージするパウルの数が変わるという、とんでもない作るになっているわけなのです(大汗)

考えたヤツ天才かよ!!!!

こう考えれば、値段が高いのがわかるでしょ??(滝汗)








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